生きるとは、自分の物語をつくること

河合隼雄 小川洋子 対談集

臨床心理学者である河合隼雄氏と小説家小川洋子氏との対談集。

「博士の愛した数式」をきっかけに、高校の数学教師であった河合隼雄が興味を持ち、小川洋子との対談が行われた。この物語の作られた背景、数学についての二人の感想などが語られる。

悩みのない人はいない。納得できない、理不尽すぎる、という状況がだれにでも起こりうる。そのとき、どういう風にそれを受け入れるか。それが自分の物語だ。誰それが悪い、と解釈してもいいし、これは自分が原因だった、だから次からはそうならないように気を付けよう、でもいい。そんな単純なことばかりではない。

パワハラやセクハラ、いじめなど、耐えがたい腹の立つことがいくらでもある。毒親もその一つ。毒親のせいで、こんなになった、と恨みながら生きてきました、という物語にしてしまうのか、それとも親は毒親だったけど、自分はこういう生き方を選びました、と言える物語にするのか。あるいは、毒親だろうが何だろうが、自分の人生には関係ないよ、と言えるのか。

できたら、こんな医師に出会いたかった。私が遭遇した精神科やメンタルクリニックの医師たちのしたことは薬を処方することだけだ。悩みのいきさつは一応聞くが、それだけ。難しい勉強と試験をくぐりぬけてきた人たちのすることは、3分くらい患者の言うことを聞くふりをして、前回と同じか、もうちょっと多めの薬を処方しようとするだけ。

自分の物語をつくる、とはとても能動的な言葉だ。されたことを恨んでばかりの自分には耳が痛い。

生きてると、思いがけないことが次々に起こる。不可抗力なこともたくさんあるけど、それらについて、どうするのかは、自分に選択権があるし、責任もあるのだな、と思う。

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