フランス旅行⑦ パリからヴェルサイユ宮殿へ

フランス滞在も佳境に入った。本当は一つの都市で歩いて行ける範囲でウロウロしたいのだが、ここまで来たらヴェルサイユには行かないと。だいぶ昔のことだけど、夫が以前パリに来た時に行ったことがあるというので、任せることにする。

早起きして朝食もしっかりとり、準備万端で朝のパリに出る。と言っても、ホテルから歩いてすぐの地下鉄の駅までだ。そこからだと、乗り換えずにヴェルサイユに行けるとの由。乗り換えは好きじゃないので、しばらく歩くのはなんともない。

朝日を浴びながらチュイルリー公園を抜けて、セーヌ川にかかる橋を渡る。橋の欄干に閂がぎっしり。これは、恋人と愛を誓いながら閂をかけるとその愛がずっと鍵をかけられて永遠のものになるというおまじない。らしい。

意気揚々と地下鉄に降りて、そこからと思われるホームに向かう。ところがホームに来たところで夫が不安げな様子。どの電車に乗ったらいいのかよくわからないという。ホームの電光表示板を見てもフランス語なのでよくわからない。ところが、しばらく待っていると、ホームにやけにきらびやかな電車が入ってきた。

表示にヴェルサイユって、電光掲示板にも書いてある…

なんか、ヴェルサイユっぽくね?ヴェルサイユ行きだよね?きっと、そうだよ!これがヴェルサイユ行きじゃなくて何なんだ。しかも、「この電車はベルサイユ行きです」って日本語で書いてある看板も発見。

ということで乗り込む。もう、今日の行程は制覇した気分。

それなのに、夫が自分の作ったメモを見ながらまだ納得していない。電車はすでに2駅を通過しつつある。こんな時は、人に聞いてみるのが一番なんだ、とヘンなところでアナログなところを発揮する夫。偶然近くに座っていた若い白人男性にメモを見せながらなにやら話しかけた。

で、結果は、まさかの電車乗り直し。えー、だってヴェルサイユって書いてあるじゃん。絶対これヴェルサイユ行きだよー、とごねてみるのだが、聞く耳持たない。これだと、同じヴェルサイユでも宮殿入り口まで20分も歩かないといけない駅に着くから、もっと至近距離の駅に行くには別の電車を使わないといけないらしい。

20分くらい、歩けるよ。これから電車で引き返すの方がめんどくさい。…って言ってるのに、全然聞いてない。もう、だめだ。なぜか最近、夫は妙なエンジンがかかると全然人の言うことを聞かなくなるのだ。

そんなこんなでヴェルサイユに着いたのは11時近く。しかも、結局駅から20分歩いた。せっかくの早起きが無駄になったし、パリに帰ってからの予定もこなせない。行きたいところがたくさんあったのに。もう残念で仕方ない。が、旅先で不機嫌はご法度だ。時間指定のチケットだったのに、プリントアウトしたチケットをガイドに見せると、待たずにどんどん進める。10時までに着かないと、一般のお客さんとして長蛇の列に並ばないといけないと思い込んでいたのでちょっと気分がよくなる。

今回も日本語の音声ガイドを借りる。宮殿の中は何度もガイドブックや歴史の本なんかで見ている。つい最近もネットフリックスの「ヴェルサイユ」を見たばかりだ。

宮殿内にはトイレがないので見学を始める前に用を足しておくことを勧められる。トイレはチケットが何であれ、並ばないと。どこの国でも女子トイレの列の長いこと。あんまり長い列にしびれを切らして、障碍者用のトイレに入ってしまう家族連れがいた。マナー違反だなと思うけど、特に誰も注意しない。言葉が通じないし、その家族のお一人は車椅子こそ使っていなかったがかなり高齢の女性だった。それよりか、スペースが十分にあるんだから、トイレを設置しとけよ、とフランス側に言いたい。世界中から観光客が来るもんだから、サービスを良くしようという姿勢が感じられない。ほっといても人が来るんだからしょうがないか。日本の「おもてなし」の心を少しは見習えよ。なんて、疲れているから内心イライラしているのだが、こんな時こそ、笑顔でいないと。逆に、なんにもしなくても観光客が来るということなんでしょうね。

有名な鏡の間、王の寝室、執務室、王妃の寝室などを見ていく。ヴェルサイユは宮殿の中も豪華絢爛だが、庭園も必見だ。だけど、朝から右往左往したのでお腹がすいてしまった。広い庭園は、見渡す限りなんもない。庭園内のレストランにたどり着くまで15分は歩く。

写真は、ヴェルサイユにあるダビッドの「ナポレオン戴冠式」。ルーブルにも同じ絵があるのだが、この並んだ女性たちのうち、左から2番目の衣装がピンク色になっている。なんて小ネタを教えてくれたのもルーブルの日本語ガイドさんからだ。

ルーブルの「ナポレオンの戴冠式」部分
後ろの男性の頭も、ちょっと違う…

グラントリアノン、プチトリアノン、マリーアントワネットのなんちゃって農村まではとても歩いていく時間も体力もないので、ニースで乗ったのみたいなトラムに乗っていくことにする。乗って敷地の広さを改め実感する。最近、修復されたというマリーアントワネットの農村にも行ってみる。よくできているけど、確かに家の形がなんか変。実際には農家の生活なんかまったく知らない王妃が勝手に想像して作った風景だ。お金のかかる遊びだ。そのお金は国民の税金だから、つき合わせらる方は内心どう思っていたのか想像に余りある。

王妃の農村から、またトラムに乗って宮殿の出入り口に戻ったころはもう午後の4時ごろ。駅までの途中にあるスーパーにちょっと寄って、電車でパリに戻るともう夕方。なんかもう、疲れて何もしたくない。だけどすぐにホテルに戻るのはもったいないので近くのスイーツのお店に寄って、娘が選んだものを買ってあげる。ついでにもう一軒、チョコレートの専門店に行って、閉店間際だけど入れてもらってチョコバーをいくつか買う。

夕食はホテル近くのチャイニーズレストラン。もうみんな洋食は食べられないし、和食と言ってもよさそうなのはないし、ということで、中華になった。これがとっても雰囲気の高級なレストランなんだけど、食事は大味で面白かった。ものすごーく、もったいぶって出す春巻きと餃子とチャーハン。お値段もかなり。だけど、パスタとピザに飽き飽きしていたので仕方ない。

明日はもう帰りの飛行機に乗らないと。午前中しか時間がない。ああ、シャンゼリゼ大通りも、凱旋門も見ていない。なんてこった。人に頼り切るからこういうことになるんだな。でもまあ、見ることのできたものもある。ないものを数え上げるときりがないのだ。

海外では公共交通機関を使うのはハードルが高い。私はヴェルサイユに行くのもオプショナルツアーを利用するのがいいのではと思っていたのだが、夫が自分が行ったことあるし、普通に電車で行った方が安い、と言って譲らなかった。ところが、それはもう10年以上昔の話で、パリの交通事情が変わっていた。後で調べているとパリからヴェルサイユは今でもあまり便利ではないみたい。少し高くても、時間の限られた海外旅行ではホテルまで迎えに来てくれるツアーをうまく利用するのがいいような気がする。ルーブルの見学ではそれがとてもよかった。ローマでのボルゲーゼ美術館見学でも、英語ガイドではあっても実際に美術館に入れたし、一般の見学者のように並ばずに済んだのでよかったと思う。今後はツアーの利用をもっと夫に勧めようと思う。

次は、オランジュリー美術館。

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