いつも彼らはどこかに

著者 小川洋子

動物にまつわる八編の短編集。

登場人物たちは、おおむね孤独な生活をしている。一人暮らしで、貧しいらしく、金銭的に余裕があるようにはみえない。過去に複雑な事情を抱えている様子もうかがえる。ある程度の年齢なのに、経済的に恵まれているわけでもなく、一人暮らしでいるのは寂しいことだろう。

でも、この本に登場する人々は、それぞれの仕事をして、淡々としている。声高に何かを主張することもなく、日々の生活を送っている。

それでも、心の中ではさまざまなことを思い巡らせている。その思いはたまたま彼らの目に留まった動物に向けられる。

年齢や男女に関わらず、社会からちょっとはみ出てしまっている人たちが示す動物への愛情を、小川洋子らしく静かにやさしく描いている。中には、かなりグロテスクなものもあるのがちょっとしたスパイスのようで最後まで飽きさせない。おしまいの二編が特に圧巻だ。静かで優しいばかりではない小川ワールド。短いお話でも、いや短いからこそ鋭く突き刺さるようなお話だった。

「いつも」というのはどういうことかな。どんなに人ととのかかわりを少なくして暮らしていても、この世にいる限り、いきものはいつもどこかにいるということかな。だから、いろいろな思いを動物に変換していろいろ考えてしまうんじゃないだろうか。チーターのスペルにhが入っているだけでチータを毎日見に行かずにはいられない女性。チーターのことを思っているようで、この人は全く違うことを考えている。執着と愛情は紙一重だ。愛情もちょっとのはずみで美しくなったり不気味に映ったりする。

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